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ブライダル業界の皆さま必見!結婚式場の音楽(BGM)著作権は大丈夫ですか…?

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こんにちは!Audiostock事務局です。
突然ですが、結婚式場のプランナーさん、映像制作会社の制作スタッフさん。
ブライダル企画における音楽の権利処理について 、胸を張って「完璧!」と言えますか…? 

2018年を振り返ると、著作権に関して、ブライダル業界の皆さまにとっては見逃すことのできないニュースが流れてきました。
ブライダルコンテンツの制作事業者を被告とし、ブライダルコンテンツの使用禁止と損害賠償を請求する訴訟を、JASRACが東京地方裁判所に提起した件が、和解という形で結末を迎えたのです。

今後、ブライダル業界に携わる皆さまには、著作権法の知識を持ったうえで業務に取り組むことが、これまで以上に求められるでしょう。
今回は、結婚式場で起こりうる権利処理のエトセトラについて、クイズ形式でご紹介いたします。 

これからご紹介するのは、架空の結婚式場で繰り広げられる、音楽の権利処理に関するやり取りです。
クイズ形式で前半・後半で2問ずつ出題するので、ぜひ答えてください!
普段からプランニングに携わる方から見ると基本的な内容にはなりますが、普段の取り組みを見直す意味でもご一読いただけますと幸いです。
式場のウェディングプランナーさん・制作会社 のスタッフさんはもちろん、そうでない方も、「なったつもり」で答えを考えてみてください! 


【設定】

■文子さん:結婚式を控えたプレ花嫁さん。木村カエラの「Butterfly」 が好きで、ケーキ入刀のBGMに使いたいと思っている。

■クレオフーガーデン :地域で人気の結婚式場。JASRACと包括契約を結んでいる。

■花梨さん:クレオフーガーデンの新米ウェディングプランナー。文子さんの担当を務めている。


では、さっそく参りましょう。
前半は基礎知識編です!

■基礎知識編

Q1:文子さんが挙式をする結婚式場クレオフーガーデンでは、JASRACと包括契約を結んでいる。

文子さんがケーキ入刀のBGMとして木村カエラの「Butterfly」を流す場合、事前に許可を取らずに使用しても良い。〇か×か。

なお、音源は市販のCDを使用するものとする。

 

Q2:文子さんから挙式中の再生用に「Butterfly」のCDを預かったプランナー花梨さん。音響スタッフさんが再生・管理しやすいよう、再生用のCD-R にコピーしてから会場で流したいと考えている。

この場合、クレオフーガーデンではJASRACと包括契約を結んでいるので、追加で申請をする必要はない。〇か×か?

……いかがでしょうか。

著作権法に明るい方にとっては比較的答えやすい問題だったかもしれませんね。

では、回答です。  

A:Q1の正解は、『○』です。

まず「著作権」について検討しましょう。クレオフーガーデンはJASRACと包括契約を結んでいます。この契約により、クレオフーガーデンでJASRACの管理楽曲を自由に「演奏」することができます(CDを再生することも著作権法上は「演奏」に当たります)。

「Butterfly」はJASRACの管理楽曲なので、「Butterfly」をクレオフーガーデンで流すことについて、著作権は処理できています。

 

次に、CD音源を扱う場合、著作隣接権(レコード会社などが保有するCD音源の権利)の手続きを検討する必要があります。

もっとも、CD音源を複製する場合などと異なり、CDをそのまま流す場合は、著作隣接権は働かないので、特別の手続きは不要です。  

 

A:Q2の正解は、『×』です。

こちらも、まず「著作権」から検討しましょう。結婚式場はJASRACと包括契約しているといえ、これは「演奏」に関するものなので、「複製」を行う場合は別途JASRACに申請が必要となります。

 

次に、著作隣接権を検討します。Q2の場合は、Q1と異なり、音源の複製をしているので、著作隣接権の処理も必要となります。ISUMあるいはレコード協会を通じての処理が必要となります。

 

※『著作隣接権』『複製』『ISUM』については記事の最後に詳細な解説をしております。

 

さて、ここからは少し難易度が高くなります。

「Butterfly」について各申請を行い、「Butterfly」をCD-Rに複製し利用することにしたプランナー花梨さん。その後も、新婦の文子さんから音楽演出に関する相談を受けることに。さて、その内容と回答とは?

応用編として、ぜひ挑戦してみてください!

■応用編

Q3:新婦の文子さんはエンドロール(※結婚式の最後に上映する映像)のBGMとしても木村カエラの「Butterfly」を使いたい、とのこと。
この件をプランナーの花梨さんが上司に相談すると、「やり方によっては、追加で権利処理の手続が必要になる」と助言を受けた。

追加で権利処理の手続きが必要になるのは、次のうちどの場合か。当てはまるものすべてを答えよ。

 

(1)エンドロールに合わせて生演奏をする場合。

(2)映像のみ・無音のエンドロールを放映。会場のCDプレイヤーから、映像に合わせる形で市販のCDを流す場合。

(3)エンドロールを編集する過程で映像にCD音源を複製。完成した音源付きのエンドロールを会場で流す場合。

 

Q4:文子さんは当日の様子を収めた記録用ビデオを作りたい。

撮影した映像を見返したところ、ケーキ入刀の場面で、会場で流していた「Butterfly」が、丸々一曲分、挨拶と一緒に録音されていた。

この録音された映像を文子さん夫婦が記録用ビデオに使う場合、追加で著作隣接権の申請が発生するのは、次のうちどの場合か。当てはまるものすべてを答えよ。

 

(1)文子さんの弟が無料でビデオを撮影・編集し、文子さん夫婦に渡す場合。

(2)文子さんの弟が無料でビデオを撮影・編集し、文子さん夫婦と参列者に配布する場合。

(3)クレオフーガーデンが有料オプションとしてビデオを撮影・編集し、文子さん夫婦に販売する場合。

 

以上です。後半の2問は難易度も高く、迷われた方も多かったのではないでしょうか。

それでは回答です!

 

A:Q3の正解は『3』です。

(1)と(2)は、著作権との関係では「演奏権」の問題であり、JASRACとの包括契約でカバーされています。

著作隣接権との関係では、(1)はそもそもCD音源を使っておらず、(2)についてもCDの再生だけなので処理の必要はありません。

(3)の場合、「Butterfly」の演奏だけでなく、映像への録音を行っているので、著作権との関係では「複製権」が働きます。CD音源の複製をしているので、著作隣接権の手続も必要になります。式場もしくは制作会社からISUMあるいはレコード協会を通じて処理する必要があります。

 

A:Q4の正解は『2・3』です。

Q3の解説からすると、音楽をビデオに「録音」している以上、『1・2・3』全てで権利処理が必要なのではないか、と思われるかもしれません。

しかし、「披露宴の様子を、家族が自らの記念のためにホームビデオで撮影する」場合のように個人や家族で楽しむための複製は、著作権法上「私的複製」として認められているので、手続きは不要です。

もっとも、ビデオを列席者に配布したり、業者が新郎新婦に販売する目的であれば、「私的複製」とはいえませんので、権利処理の手続きが必要となります。

 

さて、皆さんは何問正解できましたか?

 

今回はいつもとブログの毛色を変えて 、著作権に関するトピックをお伝えしました。

著作権は、作品を世の中に送り出した音楽家 を守る大切な権利です。申請が多く大変な部分もありますが、素晴らしい音楽が世の中に残り続けるためにも、しっかりと意識して付き合っていきたいですね!

 

ちなみに、Audiostockでは結婚式に使えるロイヤリティフリーの音源を10万点以上取り揃えております。

複製権につきましても、一度ご購入いただいたら、その後何度でも複製いただけます。

「煩雑な権利処理をもっと手軽に!」とご要望であれば、ぜひご利用を検討くださいませ!

audiostock.jp

 

【巻末プチコラム 1:著作権?著作隣接権?どう違うの?】

音楽に関する権利ですが、「著作権」と「著作隣接権」に分けられます。

権利が分かれていると、いささかややこしいですよね。

音楽業界における著作権・著作隣接権ですが、おおまかに説明すると下記の通りです。

 

■著作権=作曲した人の権利(作曲家、作詞家の権利)

■著作隣接権=作曲した曲を世の中に伝達する人の権利(実演家、レコード製作者、放送事業者・有線放送事業者の権利)

 

よく話題に出てくるJASRACは「著作権」を管理しています。一方で、「著作隣接権」は管理していません。

著作隣接権はCDを制作したレコード会社や芸能事務所が権利を持っていることが多いです。

また、著作隣接権を分解すると「レコード製作者の権利(いわゆる原盤権)」と「実演家の権利」に分けられます。

「著作権」の方は実はJASRACに申請を出せば大体の用途で許諾を得られるのですが、むしろ「著作隣接権」の方がレコード会社等に問い合わせないといけなかったりと、権利許諾を得るのが難しかったりします。

複雑にはなりますが、これらは音楽を世の中に送り出す人たちが適切に創作活動へ取り組めるよう、整備された権利です。

音源を利用する際は、これらの内容を頭の片隅に置いていただければ幸いです!

 

【巻末プチコラム2:ISUMとは?】

「一般社団法人 音楽特定利用促進機構」の略称です。結婚式における著作権・著作隣接権の処理をweb上で簡単にできるシステムを提供している機構です。 2014年4月に本格運用を開始しています。

結婚式で利用される市販CD音源の著作権・著作隣接権の権利処理と権利料の支払処理をオンライン上で簡単に出来るシステムを提供し、ブライダル業界の関係者が適法に楽曲を利用出来る環境を創ることによって、ブライダル業界と音楽業界の間に「ウィン・ウィンの関係を構築する」ことを目的として設立されたのが「一般社団法人 音楽特定利用促進機構」(英語表記:Initiative for Special Uses of Music略称:ISUM=アイサム)です。(公式ホームページより引用)

著作権だけでなく、著作隣接権までオンライン上で処理できるシステムで、最近は一般の消費者へも認知が広まっているようです。

使いたい曲が登録されているか、ぜひ確認されてみてはいかがでしょうか。

 

▽記事監修

弁護士 高木啓成(アクシアム法律事務所)

https://axiomlawoffice.com/