【セミナーレポート】弁護士で作曲家の高木啓成が教える「企業が気を付けるべき音楽著作権」

こんにちは!Audiostock事務局です。
6月8日(火)にオンライン開催した、弁護士で作曲家の高木啓成が教える「企業が気を付けるべき音楽著作権」セミナーの開催レポートをお届けします。

目次
1.開催のきっかけ
2.セミナー構成について
3.セミナー内容ダイジェスト
4.参加者アンケートより
5.おわりに
6.資料ダウンロード

開催のきっかけ

Audiostockでは以前から、動画制作における音楽著作権に関するお悩みなどのお声をいただくものの、お悩みの解決に役立つコンテンツが少ないという背景がありました。
そこで、弁護士 × 作曲家の異色のキャリアを歩む 高木啓成 氏をゲストにお招きし、企業が動画制作に取り組む際に気を付けたい音楽著作権についてのセミナーを開催しました。

開催日時:2021年6月8日(火) 11:00~
場所:Zoomにて開催(オンライン)
テーマ:弁護士で作曲家の高木啓成が教える「企業が気を付けるべき音楽著作権」
講師: 高木啓成 様

セミナーの構成について

本セミナーは以下の流れに沿って、お届けしました。

1.音楽をめぐる著作権法上の権利
2.動画で音楽を利用する場合の権利処理について
3.質疑応答

セミナー内容ダイジェスト:音楽著作権における気を付けたいポイント

音楽著作権セミナーでは1時間にわたり「音楽をめぐる著作権法上の権利」「動画で音楽を利用する場合の権利処理」についてお話しいただきました。
その中から「動画で音楽を利用する場合の権利処理」について一部ではありますが、ご紹介させていただきます。

動画で音楽を利用する場合の権利処理について

YouTubeに動画をアップロードする場合の例として、下記の4つの事例についてご解説いただきました。
本レポートでは特に気を付けたい事例として動画③、動画④について詳しくご紹介します。


<動画①>
あるフリーのミュージシャンが自分のアカウントで、 LiSAさんの「紅蓮華」を自らギターを弾きながら歌った動画(いわゆる「歌ってみた動画」)をアップロードする場合

<動画②>
ある弁護士が、所属の弁護士法人のアカウントで、 米津玄師さんの「パプリカ」のCD音源(または配信音源)をBGMとして利用し、法律を解説する動画をアップロードする場合

<動画③>
ある声優が所属の声優事務所のアカウントで、NiziUさんの「Step and a step」を自らギターを弾きながら歌った動画をアップロードする場合

<動画④>
ある企業が自社のアカウントで、 LiSAさんの「紅蓮華」のオリジナル音源を自作してジングル的に利用し、その企業の商品を宣伝する動画をアップロードする場合


動画③:ある声優が、所属の声優事務所のアカウントで、NiziUさんの「Step and a step」を自らギターを弾きながら歌った動画をアップロードする場合

本事例では、外国作品かどうかの判断・外国作品について気を付けたいことを高木様よりご紹介いただきました。

NiziUさんの「Step and a step」は外国作品としての登録となっているため注意が必要です。
ビートルズなどの海外アーティストであれば一見して外国作品と判断ができますが、本事例のように日本で馴染みがある作品も外国作品の場合があります。

外国作品の場合に気を付けたいこととして、「シンクロ権」があります。
シンクロ権とは、音楽とテレビCM、映画等の映像を同期させて録音する権利で音楽出版社に許諾を取る必要があり、個人での利用を除き、JASRACの包括契約の範囲外となります。

そのため、本事例では、日本のサブパブリッシャーであるSMPに許諾を求める必要があります。

一方で、NexTone管理の外国作品の場合は、個人・法人問わず、包括契約の範囲内になります。

動画④:ある企業が自社のアカウントで、 LiSAさんの「紅蓮華」のオリジナル音源を自作してジングル的に利用し、その企業の商品を宣伝する動画をアップロードする場合

本事例では、広告目的で使用する場合について気を付けたいことを高木様よりご紹介いただきました。

※「紅蓮華」の著作権の管理状況は、JASRAC全信託となっています。

しかし、企業の商品を宣伝するなど広告目的で利用する場合は、包括契約の範囲外となり、「広告目的複製」という手続(音楽出版社の許諾)が必要です。

理由は名誉声望保持権の侵害の可能性があり、事前に著作者の許諾が必要になるためです。
ただし、音楽出版社に許諾を求める際に、音楽出版社が著作者に問い合わせを行うので、利用者が別途著作者に問い合わせをする必要はありません。

ライブラリー音源を利用する場合に気を付けること

1.ライブラリー音源とは
・従来からTV等の音響効果制作業務で使われていたような音楽・SEが収録されたCD、最近ではインターネット上でダウンロードできるものまで様々なものがあります。
・YouTubeのみで利用する動画であれば、「YouTubeオーディオライブラリー」の無料の音楽・SEを使うことができます。

2.権利処理
・ライブラリー音源の事業者が著作権・原盤権を自己管理しているケースが多いです。(著作権についてはJASRAC管理の場合もある)
・当該事業者が認める範囲で、権利処理することなく自由に利用することができます。

3.注意するポイント
・利用条件に問題はないか。(商用利用はできるのか、法人で利用できるのか、アダルト作品で利用できるのか等)
・YouTubeのコンテンツIDにひっかかる場合もあるので、信頼できる事業者から取得する。

上記でご紹介したポイントの他にも、セミナー参加者様よりいただいた質問など、気になる疑問についても詳しくご解説いただきました。

参加者アンケートより

映像制作会社のご担当者様をはじめ、音響効果 / MA、放送局、YouTuberの方々など、約150名の皆さまにご参加いただきました。
また、アンケートにもご回答いただきましたので、その中から一部感想をご紹介いたします。

セミナーの満足度
5段階評価の中から選択いただくアンケートにおいて、約9割の方に「大満足」「満足」のいずれかをご回答いただきました。

番組制作会社の音効部で楽曲報告を担当しており、放送したものを配信することが増えてきています。権利処理をきちんと把握して音効さんに伝えないといけないので、弁護士さんならではの、知識と言葉の選び方、解釈の仕方など、とても勉強になることばかりでした。

(映像制作)

著作隣接権についてとても判りやすい説明になっていて、理解が深まりました。
動画で音楽を利用する場合の権利処理も、状況に応じて違うということが、この説明なら新人スタッフにも教えやすいです。

(音響効果 / MA)

おわりに

改めまして、ご参加いただいた皆さま、登壇いただいた高木様に心よりお礼申し上げます。Audiostockは今後も、皆さまのお役に立つセミナーを開催していきます。
セミナー情報については、当ブログにて公開してまいりますので、ぜひご覧ください。

資料ダウンロード「企業が気を付けるべき音楽著作権」

本セミナーでご紹介した内容について資料ダウンロード(PDF)​いただけます。
映像制作業界の方が抱える法律/ライセンスのお悩みを解決するヒントとなるような、明日から役立つ実践的な内容となっておりますので、ぜひご覧ください。

この記事を書いた人